30年間泣いていた<発達障害なんてない>

発達障害者雇用で就労していた筆者が、発達障害者が生きにくい社会についての考察や時事問題、自分&他のケース、独り言などをまとめました

<発達障害者雇用で働いていた筆者が、
発達障害者が生きにくい社会についての考察や時事問題、
自分&他のケース、独り言などをまとめました

貧困ビジネスライターによって誤解を広められる発達障害

 

 

toyokeizai.net

 

以前も姫野ケイさんの記事で、発達障害にもいろんなスペトラムがあるのに、さも発達営業の女性が「発達障害だから」という理由でそういう言動をする、といった誤った記事を書いていたので腹が立った話はしました。この藤田さんはそこはクリアしているけど、全然違う方向に関心を持っていってしまい、社会に誤った偏見を植え付けています。

 そうした人材を活用できない、活躍する場がないのは社会の制約の側なのに、まるでさも発達障害の側が悪いかのような書き方ですごく腹が立ちました。

 

重度アスペルガーを避けたくなるのは事実

 

アスペルガーは確かに、共感能力が欠落しています。重度な人は記事の通り、一緒にいるだけでイライラします。

発達障害がある自分でも結構そういう人を何人か見て来ましたが、たしかにムカつきます。この部分でそうした人が嫌いになる人も多いのは事実です。あまりにも重度な人は、たとえこの人が発達障害があるとわかっていても、私が発達障害がある側の人間だとしても、理解し難いし近づきたいとは思いません。

 

だとしてもです。

 

人間は社会的動物であるゆえに、共感能力が欠けているとコミュニケーション能力が重視されるビジネスの場では、全くもって働ける場はありません。

 

あるライターはアスペルガーに研究職をさかんに推していますが、アスペルガーだろうとある程度の社会性や交渉能力、対人能力がなければ生きていけません。理系の人でもビジネス界でやっていけるのは最低限社会能力がある人です。

※就職口がないなら単純労務作業に行け、と心無いネット中傷もありますが、アスペルガーでも多動性のある人は、単純労務作業はもっと向いていません。

 

また、それ以前にまともな就労経験がない人は雇われません。日本では特に年齢に厳しく、どんなに若く見える人であっても年齢を書いたら書類を送っただけで落とされます。

 

どんな人材不足の企業でも、お金をかける以上はそんな「リスクのある人」は背負いたくないのが事実です。(もっと言えば、企業が求めているのは「若く」「能力が最初からチート級にあり」「いうことを聞く」兵士なのです。)

 

障害問題に誤解を広げるビジネスライターはペンを折れ

 

自分で貧困救済活動をしている方の記事は「何が原因で何が助けになるのか」を考えているので納得できることも多いのですが、貧困をさもスペクタクルのように捉えているビジネスライター さんは発達障害のことなんて書かない方が、発達障害側の人間からは反感を買わないと思います。あまりにもこの記事は酷すぎます。

 

仮にもそうした言動を研究している、貧困と社会的精神障害が現代では強く結びつくものだとある程度理解のあるライターが、そんな事書いてはダメだろうという話です。

こういう「貧困ビジネスライター」さんは、発達障害に対する偏見ばかりを広げる記事を書いてどうするのでしょうか。社会に役立つどころか、誤った誤解を世間に広げようとしているのでしょうか。

 

記事中には、この男性が貯金を減らして生活保護に頼ったことがある、と書いてあります。

生活保護の使い道といっても、実際にこんな人が社会に出て来たら周りが迷惑だと思いますし、本人もそれで辛くてやめてしまったのがわかります。(発達障害は共感能力はなくても、人に嫌われているのはわかる)

 

また、このライターさんは取材対象が生活保護を使ったことに対してものすごい憤りを感じた記事を書いていました。

逆に聞くと、社会的困窮のある人が生活保護で海外旅行に行って見聞を広げることについて、むしろなにが悪いのでしょうか。

障害年金もらいながら家庭に依存し、毎日ゲーム三昧していてネットに動画上げているような人も巷にはいるそうなのですが、そうした内籠りの趣味だったら許されたのでしょうか?

ネットゲームでたかだか一枚のイラスト出すのに何十万も課金してしまう方も世の中にはいるそうですが、海外旅行なんて、家に閉じこもってゲームをしているよりも自分を見つめ直すのにとてもいい機会だと思います。(海外旅行=贅沢という偏見がそもそもおかしい)

 

まともに労働しても最低賃金、障害があればもっと働くことが困難で、そもそも生存できるほどのお金が貰えないような国です。余暇にかけられるお金すらないこんな国だからこそ、海外で息を抜くくらいでちょうどいいのではないでしょうか。

 

共感能力がなければ生きていかれないような日本社会なのだから、海外旅行でも行って見聞を広げたり、自分の起業やアイデアに役立つ知識でも得て来たほうが、こんなに同調圧力が強くて制約だらけの社会に縛られない方がいいということにも気づくはずです。

 

 

発達障害は社会的な障害です。

このように「社会的障害」と「社会的貧困」を見世物のように扱うような記事に、私は激しく憤りを覚えます。

 

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